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弁政連フォーラム 第271号 平成27年9月15日

自由民主党「知的財産戦略調査会」の開催について

 平成27年8月6日に自由民主党本部にて、政務調査会「知的財産戦略調査会」が開催され、日本弁理士会から伊丹勝会長、中村仁副会長及び橋本虎之助副会長が出席し、日本弁理士政治連盟からは水野勝文副会長が出席しました。
 事務局長の三原朝彦衆議院議員による開会挨拶に続き、会長である保岡興治衆議院議員が挨拶を述べられ、山下貴司衆議院議員が司会を務め、調査会は進行しました。
 当日の議題は、「平成28年度予算概算要求(知財関係)に向けた検討状況について」及び「知財教育の取組について有識者ヒアリング」でした。
 まず、内閣官房の知的財産戦略推進事務局から、以下に記す項目に沿って、平成28年度予算概算要求に向けた重点検討事項に関する説明が行われました。

 1.地方創生のための地域中小企業の知財活用の促進
  (1)中小企業の知財能力の向上支援
  (2)中小企業と大企業・大学との知財連携(産産連携・産学連携)の強化等
 2.「世界最速・最高品質」の審査体制の構築
 3.知財紛争処理システムの活性化
 4.知財システムの国際化への対応

  (1)知財システムの海外展開
  (2)模倣品・海賊版対策
 5.戦略的な標準化の推進
 6.コンテンツと周辺産業との一体的な海外展開の促進

  (1)コンテンツと周辺産業が連携した海外展開の促進
  (2)海外展開のための環境整備
 7.国際的・戦略的な知財人材の育成

 次に、山口大学の大学研究推進機構知的財産センターから「山口大学における知的財産の取組~知的財産の創出から戦略的活用までを見通すことができる人材育成~」と題した説明がなされました。
 山口大学においては、平成25年度からおよそ2,000人にも及ぶ1年生全員を対象に知財教育の必修化を実施しており、その科目も体系的に開設され、独自開発による特許検索システムやeラーニング教材なども整備されています。また、知財教育の必修化は、理系学生のみならず文系学生をもその対象としており、学部共通教育に限っても10科目を開講し、研究者倫理や研究ノートの使用方法などにも触れています。
 最後に、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)から「ACCSの知的財産権教育活動について」と題した説明が行われました。
 ACCSにおいては、知的財産権教育活動の一環として、教育機関、省庁、地方公共団体及び企業などに講師の派遣を行っていること、産業能率大学や山口大学において、ACCS職員をその講師とした講座を実施していることなどが紹介されました。
 なお、河村建夫衆議院議員は「自身が文部科学大臣を務めていたときに、山口大学が知財教育を導入した。今後、山口大学の取組が、他大学に波及することを期待している。法制度の習得もさることながら、イノベーションを生み出す創造性の向上が重要である。」と述べられておりました。
 日本弁理士会においても、知財教育に関する取組として、弁理士による出張授業、出張授業のための教材作成、実際の教育現場において教員の方々が使用可能な教材の無償提供、パテントコンテスト・デザインパテントコンテストなどに注力していることから、今後も「知的財産に関する専門家」として、社会貢献活動に尽力せねばならぬことを感じました。




この記事は弁政連フォーラム第271号(平成27年9月15日)に掲載したのものです。