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今月のトピックス
   
1. 国際研修:8月4,5日如水会館
2. 弁理士の国際業務を明確にして国際競争力の強化を

1.   国際研修:8月4,5日如水会館
 日本弁理士会研修所では、「国際研修」を−知財の本場における異なる法文化に触れよう−との標語の下に開催し、米国ワシントン大学ロースクールCASRIPの竹中俊子教授を中心に、米国知財弁護士吉田直樹氏、同バリー・ブレットシュナイダー氏、同・弁理士青木昌康氏、弁理士木越力氏、及びWIPOの宮本智子氏等実務家を含めた講師によって、主として米国法制(特許・商標)及び欧州特許制度について主として実務家の観点からの研修が開催された。知財制度の国際的相関と司法との深い係わり、更に、弁理士の国際業務の幅の広さと深さ、知財ロースクールの紹介と経験談から、実践的なクレーム解釈からクレームドラフティングの原則まで、実に豊富な内容であった。
 このような研修の機会がさらに多くの弁理士に開かれることが、弁理士の国際性の一層の強化のため期待される。これは、何年か先の弁理士の研修の「日常」を示唆するものであろう。


2.  弁理士の国際業務を明確にして国際競争力の強化を
 産構審弁理士制度小委員会に現れた資料及び議事録を見る限り、弁理士の国際関連業務を弁理士の標榜業務として明記することに、非常に大きな抵抗がある。今日の日本企業が米国で特許取得のトップテンに何社も入るようになったのは、勿論各企業の努力による所大であるが、弁理士の貢献は無視できないものである。
 知的創造立国、知財立国が唱えられるが、日本国内で特許をとるだけでは、国際競争力にはならない。世界各国で特許を取って知財競争力を確立することが我が国の生きる唯一の道である。
 弁理士の業務に、本来国境はない。各国の法制に因る資格の制約があるだけである。国際業務は、日本のおひざ元で先ず依頼者のニーズをしっかりつかみしっかりした出願をし、その上に立って、世界各国へ向けて発信し、指令することによって成り立っている。ここで忘れてならないのは、日本人が世界に出願できるのは、工業所有権保護のための1883年パリ条約によって、内外人平等の原則、優先権など、特許などの工業所有権を国際的に保護する制度的インフラが存在するからである。
 弁理士の国際業務は、このパリ条約に依拠して行うものであり、国内における業務であっても、条約に基づくものでかつ世界を視野に入れた業務である。従って、我が国の国際競争力の強化のためには、弁理士の国際競争力を強化するのが不可欠であり、そのための礎石が国際業務の明確化である。願わくば、識者に理解されんことを。

(弁政連会長 加藤朝道)

この記事は弁政連フォーラム第164号(平成18年8月25日)に掲載したのものです。
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