PF-JPA

特許法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
 平成二十六年四月一日
参議院経済産業委員会

 政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

一 我が国企業等による知的財産権の国内外における取得・保護・活用の要請の高まり
  に的確に対応する観点から、審査の更なる迅速化、効率化及び質の更なる向上を図
  り、その実現のために任期付審査官の確保を始めとする審査体制の強化に努めるとと
  もに、知的財産関連条約に関わる国際的な業務の重要性を考慮し、高度な専門性を有
  する職員の育成、中小企業を含む我が国企業の知的財産関連の活動を支える人材を育
  成する取組等に特段の努力を払うこと。


二 我が国の知的財産に関する紛争処理システムの品質の確保及び国際的なプレゼンスの
  向上を図る観点から、諸外国の紛争処理システムや知的財産に係る訴訟数、勝訴率等の
  現状について調査・分析を行い、知的財産の紛争処理に関わる人員の拡充、人材育成及
  び能力向上等の施策を通じ、世界最高の知的財産立国実現の基盤整備を図ること。


三 特許の異議申立制度の創設に当たっては、現行の無効審判制度と併存することに伴
  い、特許の有効性に対する第三者からの申立又は請求手続に混同が生じたり、異議申立
  と無効審判請求の同時係属による解決の長期化が生じたりすることのないよう、両制度
  の役割分担を明確にするとともに、制度運用面において柔軟な措置を講じること。


四 意匠の国際出願制度を導入するに当たっては、簡便な手続により複数国への国際意
  匠登録出願を可能にする「意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協
  定」のメリットを最大限享受できるようにするため、複数意匠一括出願制度等と我が
  国における意匠制度との調和を早期かつ適切に図るとともに、利用者側において円滑
  な手続が採られるよう、国際意匠登録制度・手続の内容について分かりやすい周知に
  努めること。


五 色彩や音を始めとする新しい商標の保護の導入に当たって、自他商品役務の識別力
  の判断等に際し、商標権の権利範囲の明確化が欠かせないものであることに鑑み、権
  利範囲の特定方法、商標の類否に係る判断基準を早急に策定すること。
  また、地域団体商標については、今後、地域の優れた産品等の魅力向上により海外
  展開、観光振興、地域経済活性化に一層資するものとなるよう、弁理士を始めとする
  専門家も関与した取得支援策を充実させること。


六 特許等出願以前の段階における相談等を弁理士の業務として拡充することに伴い、
  弁理士が知的財産に関する幅広い相談を受けるに際して、利用者の利便性増進の観点
  から、相談の内容に応じて弁護士、中小企業診断士等他の専門家との適切な連携が可
  能となるような体制の整備を図ること。


七 知的財産政策の効果が中小企業に対しても十分にもたらされるよう、知財総合支援
  窓口等の相談体制の充実や事業を海外に展開する中小企業の国際出願・模倣品被害対
  策のための支援内容・体制の拡充等に努めるとともに、これらの支援策の利用を更に
  促進するため周知徹底を図ること。

  右決議する。
 
 

この記事は弁政連フォーラム第254号(平成26年4月15日)に掲載したのものです。

Copyright &;copy 2000 Political Federation of JPA, All rights reserved.
日本弁理士政治連盟 〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-4-2,弁理士会館内
E-mail: info@benseiren.gr.jp
Tel: 03-3581-1917 Fax: 03-3581-1890
更新日: