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弁政連フォーラム 第295号 平成29年9月15日

「都民ファーストの会」、「都議会公明党」及び「都議会民進党」による「平成30年度東京都予算編成等」に関する要望ヒアリングの実施について

平成30年度の東京都における予算編成に向け、平成29年8月3日(木)及び9月4日(月)に都民ファーストの会、都議会公明党及び都議会民進党が、知的財産に関する専門家である我々の要望を聴取する機会を設けてくださったことから、都議会議事堂に伺いました。

都議会議員の方々におかれては、我々の要望を熱心にお聞きくださいました。

我々の要望は、以下のとおりです。

《1. 特許を出願する中小企業に対する助成制度の創設について》

〈要 望〉

中小企業が特許を出願する際に負担せねばならぬ「出願料」及び「代理人手数料」に関する助成制度を創設されたい。

〈背 景〉

(1) 特許権を取得するためには、「出願料」及び「代理人手数料」のほか、出願後に出願審査請求手数料及び登録料(特許料)などが発生する。
(2) 出願審査請求手数料及び登録料(特許料)に関する助成制度は存在するものの、「出願料」及び「代理人手数料」に関する助成制度は存在しない。
(3) 「出願料」及び「代理人手数料」が高額であるため、特許出願を断念せざるをえない資力に乏しい中小企業が散見される。

《2. 日本弁理士会との「知的財産に関する支援協定」の締結について》

〈要 望〉

日本弁理士会と「知的財産の活用による地域の活性化と産業の振興のための支援に関する協定」を締結し、知的財産に関する知識を体系的に整備するための予算措置をお願いしたい。

〈背 景〉

(1) 日本弁理士会は、25以上の地方公共団体と支援協定を締結し、地域の特殊性を考慮した知的財産に関するセミナー、相談会及び学生向けの出張授業等を実施してきた。
(2) この支援事業は、15年以上にもわたり実施してきたことから、十分なノウハウが構築されている。
(3) 協定の有効期間は、原則3年(更新可)であることから、中長期的な視点に立った体系的かつ受講者のレベルに応じた支援事業を行うことができる。
(4) 特に東京都は、知的財産に関して多くの施策を実施しているものの、その担い手の多くは、大企業の知財部出身者で占められており、特に中小企業に対する支援策が十分に浸透していないと考えられるため、中小企業支援に実績のある日本弁理士会との協定は、大いに役立つものと考えられるところである。

《3. 知的財産に関する人材の育成のための予算措置をお願いしたい。》

〈要 望〉

我が国が「知的財産立国」を標榜する以上、東京都としてもこれを実現するために、知的財産にあかるい人材を育成することが必要である。ついては、小中高校生をはじめとした学生向けの授業を行うとともに、その講師となりうる人材を育成するための予算措置を講じられたい。なお、学生向け授業の実施及び講師の育成に際しては、知的財産に関する専門家である弁理士を活用されたい。

〈背 景〉

(1) 日本弁理士会はこれまでに、プロボノ活動の一環として、小中高校生をはじめとした学生向けの出張授業を実施してきた。
(2) 出張授業を実施する際に使用するコンテンツも20種以上保有している。
(3) その他、教員の方が知的財産に関する授業を行う際に、使用することができる学習用教材も用意している。

《4. 知財金融について》

〈要 望〉

  • 都内の金融機関に対し、知財ビジネス評価書等を活用して、特に知財の活用状況に注目した事業性評価を通じた融資、あるいは経営改善支援に積極的に取り組むよう促して頂きたい。
  • 都が実施している中小企業制度融資においても、同様な取り組みを積極的に行って頂きたい。また、そのことを公表し、中小企業が知財の適切な管理や活用に取り組む動機付けをして頂きたい。
  • 事業性評価を通じた融資等を実行するためには、融資担当者等に対する相当の教育が必要になると考えられるため、積極的に取り組む金融機関に対し、教育を後押しする補助金の設定、あるいは取り組みの表彰、公表等を行って頂きたい。

〈背 景〉

(1) 近年、金融機関が、保証や担保等に必要以上に依存することなく、事業性を重視した融資を促進することが求められています。
(2) 「事業性」とは、企業の事業の内容や成長可能性などであり、これらを適切に評価し、それを踏まえた支援を行うことが、特に地域金融機関に求められています。
(3) 金融庁が、金融機関における金融仲介機能の発揮状況を客観的に評価できる指標として作成した金融仲介機能のベンチマークにも、事業性評価に基づく融資の与信先や融資額等の項目が挙げられています。
(4) このような環境の中、特許庁は、平成27年度から「中小企業知財金融促進事業」を行い、金融機関に知財ビジネス評価書の提供を行っています。
(5) 知財ビジネス評価書とは、特許・商標等の企業が保有する知的財産を活用したビジネスの実態をわかりやすく説明し、そのビジネス全体の評価を行うものです。
(6) 特許庁の事業においては、金融機関からの評価依頼に基づき、提携調査会社が評価対象企業の知財ビジネス評価書を作成します。作成費用は特許庁が全額負担しています。平成26年度は22の金融機関に51件、平成27年度は63の金融機関に150件の評価書を提供しています。本事業外でも個別の依頼により評価書の取得は可能です。

以上

このような貴重な機会を与えてくださった都議会議員の方々に対しましては、大変略儀ながら本誌面をもって御礼を申し上げます。

都民ファーストの会

都民ファーストの会

都議会公明党

都議会公明党

左:都議会民進党、右:日本弁理士政治連盟

左:都議会民進党、右:日本弁理士政治連盟

《都民ファーストの会》

〈日 時〉平成29年8月3日(木)14:00~
〈場 所〉都議会議事堂
〈訪問者〉日本弁理士政治連盟 副会長 鈴木 一永
         〃     副会長 榎本 英俊
         〃     副会長 大澤  豊
         〃     会 員 池田 直文

《都議会公明党》

〈日 時〉平成29年8月3日(木)15:00~
〈場 所〉都議会議事堂
〈訪問者〉日本弁理士政治連盟 副会長 鈴木 一永
         〃     副会長 榎本 英俊
         〃     副会長 大澤  豊
         〃     会 員 池田 直文

《都議会民進党》

〈日 時〉平成29年9月4日(月)10:20~
〈場 所〉都議会議事堂
〈訪問者〉日本弁理士政治連盟 副会長 鈴木 一永
         〃     副会長 榎本 英俊
         〃     副会長 大澤  豊
         〃     会 員 原田 正純

この記事は弁政連フォーラム第295号(平成29年9月15日)に掲載したのものです。

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