弁政連とは会長あいさつ役員紹介(組織)会費のご案内規約お問い合わせ

弁政連とは

設立趣意書

(昭和49年11月29日作成)

特許制度がわが国に創設されて、近く90年を迎えようとしております。この特許制度の健全な発展を目途としてその専門的代理の制度として生まれた弁理士制度も、さきに祝典が行われましたように、すでに75年の永きに亘っております。

1世紀になろうとする特許制度は、当然のことながら、この間の社会の要請に沿って、ある時は部分的改正が、そしてある時は抜本的な改正が行われて、ほぼ時代に即して改変されて来ました。

しかるに、弁理士制度は、そのはじめにおいて改変されたものの、大正10年に現行弁理士法が制定されて以来、部分的な修正を加えたのみで、今日に至っております。このような弁理士法が抜本的に改正されるべきであることは、すでに15年も前に現行特許法が制定された際、国会においてその旨の付帯決議がなされた事からも明らかなところであります。

とくに戦後、わが国の特許制度は著しい経済成長と技術革新に応じてその規模を急速に拡大し、かつ近年、その国際化がとみに進展しております。このような状況下において、弁理士制度もここ数年来その不備を顕著に露呈し始めております。たとえば、元来特許制度に通暁し、その事理を弁別しうる者のみに、その代理業務を為さしめようとすることに始まった弁理士制度が、今日何等の資格も問われることなしに特許制度上の種々業務を行っている者を排除し得ないでいるのが現状であります。具体的には、特許相談に対する種々の意見や指導(コンサルタント業務)、ライセンス業務、仲裁業務、管理業務などを始め工業所有権法上の各種判断事項を含む調査、ならびに外国における工業所有権法に関する業務など、当然に弁理士の専業下に置かねばならぬと考えられる業務が、無資格者によって処理されているのが現状であります。このような事態は、弁理士法本来の目的からするならば当然に許容されるべきものではありません。これら具体的な課題の解決は、もはや弁理士法の抜本的改正にまたねばならぬところであります。

もちろん弁理士法の改正は、弁理士会において検討され推進されるべきであり、そして特許制度との関係上当然のこととして関連行政機関との連携の下で遂行されるべきことであります。しかしながら、こと法律の制定や改正の問題ならびに制度の抜本的なあり方についての問題は、立法府たる国会や、国の政策を左右する政治の場に直結し、これら関係者の方々に認識され理解されることが望ましいのであります。ところが、弁理士会の活動は、その特別法人としての性格上その政治的行動には限界を感ぜざるを得ません。

ここにわれわれ弁理士が政治連盟を結成することの一つの必要性を痛感するものであります。
日本の産業経済は、今日では世界の産業経済の中の一部として把握されるべきであります。そして日本の産業経済には、日本の特許制度はもとより、世界の特許制度が深く関与しており、戦後の日本の産業の発展は、この世界の特許制度の活用にあったとさえ云われております。今後も特許制度が健全に発達し、適切に運用されることが、わが国にとって重要であろうことは予想するに難くありません。また視野を特許制度それ事態に限ったとしても、特許協力条約(PCT)の批准、商標登録条約(TRT)の発効などが迫っており、これに伴なう国内法整備としても、物質特許制度や多項制の採用、商標法の改正など多くの問題をひかえております。

このような状況のもとに、われわれ弁理士が弁理士会によって行動し得ない政治的場面において、わが国特許制度に関係のある種々の課題に対して良識ある提言を為すべきことは、むしろわれわれ弁理士の責務とも云うべきものであります。

以上の理由からわれわれは、弁理士会の方針に沿って、特定の政治思想に偏することなく、公正な立場に立って、弁理士のもつ知性と良識をもとに、われわれ弁理士の立場からの主張を政治に反映させるため、ここに日本弁理士政治連盟を結成することを決意したのであります。

発起人一同



←前のページへ戻る